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新聞配達をする日本のタミーノと呼ばれた|テノール歌手 小貫岩夫さん

第32回コラム

  • 凛とした美しい声と甘いマスク、人気絶頂のテノール歌手小貫岩夫さんは北海道小樽市出身。父が牧師だった影響もあり、同志社大学の神学部で学んだ。
    勧誘されてグリークラブに入った小貫さんは、舞台で歌う魅力に目覚め、歌手への憧れが生まれ、歌の世界に引き込まれていった。
  • 小貫さんは、同志社大学卒業後、大阪音楽大学に入り、なんと在学中の1995年に堺シティーオペラ公演『魔笛』の主役に抜擢された。ドイツのケムニッツ歌劇場との共同制作だったためドイツのテレビ局の取材があった。当時新聞配達をしていた小貫さんは「『魔笛』の主役が新聞配達をしている」と珍しく思われ、配達をしている姿を撮影されたりもした。尺八の音がバックに流れ「新聞配達をする日本のタミーノ(『魔笛』の主役)、これぞサムライだ!」というような紹介をされたという。
  • 小貫さんは、大阪音楽大学を首席で卒業後、文化庁オペラ研修所に入った。そして1998年度文化庁派遣芸術家在外研修員としてミラノに留学する。帰国後は内外のオペラ公演で活躍、数々の音楽賞に優勝、入選している。二期会公演『魔笛』(故実相寺昭雄演出)では2007年、2010年と2回連続タミーノ役で出演、喝采を浴びた。
  • 小貫さんの忘れられない思い出は、新聞配達を終えて店に戻ってすぐに、阪神淡路大震災が起こったこと。立っていらず、部屋の反対側まで飛ばされた。
    住んでいたアパートも屋根が崩れ、布団の上には本棚が壊れて倒れていて、配達に行っていなかったら、大きな怪我をしていたかもしれなかった。
    住人はほとんど避難所に行った。しかし、小貫さんは配達に行く為には未明の3時には目覚ましをかけて起きなければいけないので、避難所では周りの人に迷惑だと思い、電気もつかず、誰もいなくなったアパートで、心細い思いをしながら寝たという。
  • 小貫さんは「新聞配達を4年間、配達をやり遂げたことは 私に大きな自信を与えてくれました。私の人生にとって かけがえのないものだったと思います」と言います。そして、新聞配達をしながら学ぶ学生たちを、心から応援したいというメッセージをいただきました。
    新聞奨学生ガイドも、日々夢に向かって走る君たちを応援しています。
  • *新聞配達をした著名人を知っている方はぜひ編集部までお知らせ下さい!