新聞奨学会

■第4回コラム
新聞配達から得たもの
〜山本一力氏(作家)

2002年1月、第126回直木賞に選ばれた山本一力氏。受賞作である『あかね空』(文藝春秋)は、江戸の豆腐職人一家を描いた人情時代小説であり、今も昔も変わることのない家族愛をテーマにしている。2003年9月にテレビ愛知の開局20周年記念の特別番組として制作され、テレビ東京系列で全国放送された。

そんな売れっ子作家である山本氏だが、45歳で作家を志すまでは、旅行代理店や広告制作会社、航空関連の商社など、さまざまな仕事を経験してきたという。そして、その出発点は、意外にも新聞配達だった。
家庭の事情により、生まれ故郷の高知を離れ、母と妹ともに中学3年の時に上京。都内の新聞販売店に住み込み、高校卒業までの4年間、新聞配達を続けたという。
季節や天候を問わず、起床は午前4時。
自転車やオートバイはなく、新聞を肩ひもで背負い、ひたすら自分の足で走る日々。つらい。眠い。きつい。
しかし、これこそが自分の体と根性とを鍛えてくれた、と後に語っている。
そして、原稿執筆に追われる今、体力、気力とも丈夫で、充実していられるのも、ひとえに新聞配達のおかげだとも。当時はわからなくとも、山本氏が新聞配達から得たものは、はるかに大きかったようである。

夢を実現させようと新聞奨学生を目指すみなさん、現在がんばっているみなさん、誇りと責任を持てる仕事に携われることを喜びとしてください。新聞奨学生通信はみなさんを応援します。

(参考資料:読売新聞2003年1月26日掲載「よむサラダ」)

目次へ表紙へ


Copyright (C) AD8,inc. All Rights Reserved.